TPPより重要な事

TPPで沸騰する日本

    新聞やTVで様々な人が参画して、日本国中がTPPで燃え上がっているみたいだが、国民にとってはもっと重要である災害復興、年金、増税問題から話題をそらすために、野ダメ政権が仕掛けた罠ではないかと思ってしまう。70億人を越えた人口を維持して行くためには、貿易を始めあらゆる国際間の問題で各国が協力していかねければならないことは当然だ。そのため国連ではWTAという貿易交渉を長年続けてきているが、未だにまとまった結論は出ていない。二国間でもEPAとかFTA等の交渉が続いているが、それですら簡単にまとまる話ではない。

   

    TPPは環太平洋などと謳っているが、カナダ、ロシア、韓国、中国、フィリッピンベトナムインドネシア、メキシコなどの太平洋を取り囲む主要国は興味を示していないか、誘われてもいない。米国を除くと目につくのは豪州ぐらいで、それでも日本を入れてGDPで比較すると、米国6、日本3、その他1程度である。こうして見るとオバマ大統領が言うとおり、米国の輸出振興が狙いと分かるが、日本にとっては、高度成長期とは違って、今では中国と韓国との貿易量が40%で、米国との量は10%弱である。車ですら国内生産よりも海外生産は3倍だ。米国の品物で日本がほしいものは小麦や家畜のえさとなる雑穀ぐらいしかない。航空機B787は必要だが、これも50%は日本製だ。


    また、高度成長期の1970年から80年頃にはGDPに占める輸出産業の割合は35%から40%であったが、現在では10%程度である。もはや日本は昔の中学校の社会科のように輸出産業を強調する時代は終わっている。農業生産のGDPに占める割合が1.5%だから、このために他の98.5%が犠牲になってもいいのかという事も暴論であることが分かる。20年目に農産物自由化論議でも、多くの悲鳴が聞こえていたが、日本の高級牛肉はいまや、NYやパリーでもWagyuとして珍重されている。オレンジが自由化されると日本ミカンが全滅すると言われていたが、おいしいミカンは輸出品となっている。サクランボやリンゴも同じで日本産は中国でも高級品だ。


    来週末からハワイで始まるAPECで、日本としてTPP交渉参加の意思表明がなされるが、参加し大いに日本としての国益を強調すればいい。米国も口では偉そうなことを言っているが、内心ではこの交渉が簡単に成立するなどと思っている関係者は皆無である。TPP論議で熱くなるのではなく、年金、増税問題でもっと燃えて国民的議論を展開することを期待する。