怒りの対象は役人と政治家

嫌老人感情
    厚労省が提案した年金支給年齢引き上げに関して、若者間ではゴキブリ老人が若者の未来を食いつぶすと言うような過激な表現がネットに溢れている。この恐ろしい言い方は楢山節考の世界だ。村の食糧が限られているから、高齢者から山に籠ってもらうという話だ。大学を出ても職がない、職があってもその30%は非正規雇用という厳しい現実に直面した若者の率直な感情と思う。1945年から66年がたち、戦後生まれの団塊の世代800万人が年金生活に入りだしている。現役世代は被害者という思いだろう。国民年金に至っては未納率が40%という。


    考えるまでもなく高齢者には何も罪はない。このような欠陥だらけの制度を作り、それを維持してきた自民党政権政治家と厚労省の官僚たちこそがゴキブリどころではない、大罪を負うべき連中なのだ。そもそも未来予測はそのほとんどが当たらないのが常識であるが、人口構成の予測はほぼ確実に当たるものである。そのような当然のことを考えずに、自分たちの利益に目がくらみ目先の辻褄合わせの行政をしてきたからなのだ。


    サラリーマンが毎月積み立てた年金原資は役人の天下り先の特殊法人や官のサイフと呼ばれる特別会計に流れ、天下り法人などで浪費され、枯渇しただけなのだ。どんなに保険料を納めても、ザルで水をくんでいるのと同じだ。役人の怠慢のツケを国民が負担する必要はない。高齢者は高度成長期を支えて、今の若者たちを育ててきた人たちだ。その人たちをいじめてはいけない。怒りの矛先を間違えてはダメだ。


       公的年金郵便貯金や簡易保険とともに財政投融資の主要な原資だった。そのカネは特殊法人などによってグリーンピア簡保の宿など福祉施設建設に使われたり、得体の知れない事業に使われたりして目減りした。このようなことに関して、国民に一切情報公開されず今もその損失の実態がよく分かっていないことこそが大問題なのだ。現政権は政権交代前、特別会計特殊法人にメスを入れると声高に叫んでいたが、結局は掛け声倒れに終わってしまった。若者がこぶしを上げるべき対象は老人ではなくて、霞が関と永田町の住人達だ。


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