質の高いものを作る

諸国民の公正と信義
保護主義では限界がある
    世界の人口は70億人を超えたが、これだけの人間が生活していけるだけの食と水、そしてエネルギーを確保していくのは容易な事ではない。各国がエゴむき出しで競争していては共倒れになる事は目に見えている。幸いわが国は、日本国憲法の前文に「全世界の国民が等しく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する」と全力を挙げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓っているのである。

     これまでにも世界貿易機構WTOを始め関税障壁撤廃のために多くの国際的な話し合いとルール作りが行われてきている。成功しているものもあるし、うまく行ってはいない例も多い。1970年代から80年代にかけて、日本は高度経済成長を遂げる事に成功した原因には原料を安く輸入して、鉄、車、家電商品として輸出してドルを稼いだ事による事が大きい。日本のGDPの30%は輸出産業が稼ぎだしていたことからも推察が付く。今では10%程度になっている。

   その後、世界の中で突出した経済成長は欧米にとっては目障りとなり、米国からは金融工学の手法で株価を吊り上げて落とされたし、英国からは品質管理の国際標準で日本的なQC手法が阻まれてしまった。その後の低成長経済が20年も続いて今日に至っている。この状況から脱出して、再び成長路線へと転換していくためには、これまでと同じシステムではうまくいかない。

    自由貿易では日本の農業は壊滅すると言われているが、この20年間の保護主義でも、農業生産の規模は半分となり、農業人口は3分の1となってしまっている。いくら税金から補助金を投入してもこれでは先が見えている。それに20年前に牛肉とオレンジの自由化で日本のミカンは全滅し、おいしいビフテキも食えなくなると言われたが、全滅どころか和牛はNYの一流レストランのメニューにまでなっている。

    貿易交渉は参加国が一致しないと成立しないし、成立したとしても夫々の国内で批准されない限り有効とはならない。どこかの国は一方的に決める事などはあり得ない。環境問題では、米国は京都議定書に関しては土壇場で離脱して、その後、戻ってきたが、いまだに批准してはいない。交渉に参加する前から、何も未だ決まってはいないのに、壊滅とか壊国などとどうして恐れるのか不思議な気がする。
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