新風が西から

大阪の秋の陣を終わって
    250年にわたる徳川時代に培われてきた「長いものには巻かれろ」とか「お上の言うことは正しい」という意識は1868年からの明治政府にも引き継がれた。1945年の太平洋戦争の敗北で、民主主義思想が浸透し、このような国民感情は消えたはずであるが、支配者にとっては都合がいい民衆支配のフレーズとして、官僚機構にはできるだけ温存する政策がとられてきた。


    経済が成長を続ける限りは、このような思想でもあまり民衆には不満が出てくる気配はなかった。また積極的に利用する風土もあった。1980年代後半のバブル期を頂点として、成長経済がレベルオフすると、官支配の仕組みには様々な不協和音や不都合が露呈し始めた。2001年4月から2006年9月までの小泉改革ではアメリカ式の市場主義を導入したが、ますます格差を広げる結果となってしまった。

    ようやく、何かがおかしい気がついた国民は2009年9月に自民党政権を放り出して、民主党政権を誕生させた。このことに危機感を抱いた既存勢力は、選挙前からカネと政治などというどこにでもある当然のことを持ち出して、民主党政権の立役者だった幹部を失脚させた。あろうことか、旧支配階級の戦略に、次に出てくる民主党幹部も乗せられてしまった。その結果が、現在の霞が関支配の舞台で、いつの間にか踊らされている現政権である。
 
    その上に、国内では311の大震災と原発の大事故が重なり、国際的にはユーロ危機の影響で国内外ともに難問だらけとなってしまった。中央では旧勢力が復権したが、アフリカで起きた民衆革命と同じように、日本でも地方では名古屋に続き大阪でも反乱が起きた。維新の会は既成政党を蹴っ飛ばして予想通り圧勝した。まるで2年前の中央での政権交代を彷彿とさせる出来事だ。誕生した新市長と新知事がしなければならない第一歩は、大阪市庁舎に巣食う既得権益集団を解体させることだ。これをしない限り、ここ2年の間に中央で起きたことと同じことになってしまう。