逝った人々

行く年を振り返る

   今年は内外ともに大きな事故や事件が山積したというが、振り返ってみれば、毎年、同じようなことを誰もが言い続けてきた気がする。何も今年が特別の年だったわけではない。それでも日本では311の大災害、中東でのアラブの春、欧州でのユーロ危機などは来年までにもいろいろな尾を引くと言う意味で特筆されるべきだろう。


   大晦日は毎年恒例にしているが、逝った有名人についてまとめておきたい。順番は思いつくままにする。最初に登場するのは「スティーブ・ジョブズ」だ。1984年NYに赴任してから、最初の大きな買い物がアップル・コンピュータだった。当時の為替レートが250円だったので、プリンターと合わせて50万円はした。これが我が家のパソコン1号機で、未だに棚を飾っている。その後、さまざまなIT機器を世に送り出した人だ。次は、「ウサマ・ビンラーディン」だ。2001・911事件を引き起こした張本人だ。この人を追って米国は多くの歳月、経費、人命を使った。オバマ大統領は来年の選挙のために、漸くイラクからの全面撤退に踏み切った。


   アラブの春に関係する人では「カダフィ大佐」を挙げる。40年も続いたリビアの独裁者だ。10年前には欧米に追随して民主化路線に変更するのではと思っていたが、一度味わった独裁者のうまみは忘れられない。さらに、年末に入り極東の独裁者「金正日」の死が伝えられた。核兵器とミサイル開発、拉致、航空機爆破などの多くのテロを引き起こした人物だ。これを機会に中国の開放経済に向かうことを期待する。


   世紀の美女と言われた「エリザベス・テイラー」が80歳を目前に逝った。「若草物語」とか「ジャイアンツ」などの映画がまぶたに浮かぶ。1987年頃と思うが、NYのメトロポリタン劇場で彼女を目にしたことがあった。思ったよりも小柄で可愛らしい人だった。その時のオペラはトゥーランドットだった事も記憶に新しい。最後に、日本人では小松左京氏を挙げておく。1973年に日本沈没を発表し、話題となった小説家であるが、311災害を見届けてなくなったことは印象深い。