デフレは国際的

国際的なデフレ化圧力

  「事業の海外展開とIT活用が必要だ。海外ビジネスをためらっている時間はない。進めなければ、世界経済の流れから振り落とされるだけだ」と中小企業の生き残り策について日商会頭は音頭をとっている。生き残りをかけた企業は、コスト高の国内から国外へ工場や施設を移転させる。これはグローバル時代での先進国に共通した流れだ。そして、割安な商品はどんどん輸入されて、物価は下落して行く。先進国のデフレは必然的な動きだ。

  
  これではますます国内の産業空洞化が進む。米国では円安だった1980年代に経験したことが、いま日本で起きている。米国はこれに対して、目に見えないソフトやシステムの開発に傾注してIT産業の基盤を築いてきた。日本ではあくまでも企業の拠点は国内におき、研究や技術開発を行い、量産は海外に移転する方向が望ましい。海外で稼いだ資金を開発や試験に充てる。このような循環を形成しやすいような制度設計を政府が支援すべきだ。


  日銀の役割はあくまでも物価の安定であり、通貨の安定だ。1ドル70円近くの円高にきても腰の重かった日銀が、漸くインフレの目標をこわごわと設定した。やや円安に戻り滑り出しは順調であるが、これはユーロの安定化の兆しが見えてきたことによるところが大きい。日銀が少し前向きに動いたぐらいではデフレ圧力基調は変わらないと考える。