財政破綻とは何か

財政破綻で国は再生する

  国の財政が破綻した例はいくらでもある。財政破綻ではないが、日本でも第二次大戦直後の1946年、国債残高が国内総生産の3.5倍にもなり、預金封鎖と新円切り替えで切り抜けた。この時には預金を持っている人は一部の金持ちだけだったので、彼らの資産で借金の穴埋めをしたとも言える。1980年以降、メキシコ、南アフリカなど多くの国が破綻した。中でも、国際的に影響が大きかったのは、1997年の韓国、1998年のロシアの財政危機である。


  韓国では自由化政策で外国資本を誘致しやすくした事がもとで、自国通貨と株式が暴落した。IMF管理下に入り、エネルギー不足で国民は苦しい生活に陥ったが、銀行など古い組織が一掃された。僅か10年で車や電気製品に限らず、スポーツや芸能文化活動まで日本を凌駕するまでになっている。


  ロシアの場合は、それまでの計画経済から市場経済への移転に伴うギャップがあちこちで表面化し、ルーブルは暴落し、GDPは縮小し、インフレ率が30%にもなり、国債が大暴落した。その後、プーチン大統領がガスなどエネルギー政策を再編して、今ではBRICSと言われているまでに回復した。ただ、ロシアの場合は、ソ連時代から続く役人の腐敗が進行して、市場経済の発展を阻害している。再び大統領につくプーチン氏がどこまで力を発揮できるかによっている。



  消費税増額でギリシャを引き合いに出しているが、ギリシャの財政規模は横浜市程度であり、日本国債CDSギリシャの100分の1であることから、同列で比較するのは無理な話である。財政破綻では生活がますます苦しくなるから、これを避けるのは当然であるが、まだまだ増税しなくても破綻などはしない。韓国やロシアなどの例をみると、財政破綻による外圧で国の古いシステムが一掃されて、明治維新や戦後のように、新たなる出発をする可能性に挑戦するのもいいかもしれない。