増税よりも経済成長

財政再建

  米国第42代大統領のクリントン氏は1993年から2001年まで在任した。その間、様々なスキャンダルに見舞われたが、その人気は未だに高い。奥さんが現在の国務長官として重責を果たしている。彼の前任者は後任のブッシュ大統領の父親だったが、3000億ドルという巨額な財政赤字を残した。クリントン氏は就任して5年後の1997年には赤字を解消して黒字にした。これが未だに彼の人気を支えている源だ。時期的にはマイクロソフトなどのIT関連企業が活躍し始めた事にもよるが、政策的には経済成長しやすい環境を整えた事が大きい。


  それとは対照的に、日本では1997年に消費税を3%から5%に上げた事で、それまで55兆円あった国税収入が激減し、それ以来、一度もその額に達せず、昨年は42兆円にまで20%も縮小した。このことから、いま早急にしなければならない課題は、名目成長をプラスにすることで、増税ではない。昨年は別としてここ10年の日本の経済成長を見ると、実質成長率は平均2%近いが物価成長率がマイナス1%でデフレとなっている。実質成長率2%とインフレ率2%で、名目成長率を4%にすれば、少なくとも5年後には税収が20兆円増加する試算もある。


  日銀が少し動いただけで、円高が是正され株価も上昇に転じている。このような金融政策だけでは限界があるから、いま政府がするべき政策は増税ではなくて、まだまだ掛け声倒れに終わっている規制緩和既得権益を排除し、福祉、エネルギー、農業などの成長が期待されているか、成長させなければならない分野、中小企業などの技術開発投資振興に重点的に配慮する事で、経済成長のエンジンとすることができる。
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