増税が命か

増税が命か

消費税論議

  いよいよ今月中に閣議決定するという消費税アップ法案だ。閣議決定したところで、果たしてそのまま進むとは思われない。これまでにも消費税については、様々な問題があることは指摘してきた。主な問題は二つあり、一つは逆進性であり、もう一つは戻し税だ。これの解決法として主として欧州で行われている付加価値税VATに代えることだが、これについては殆ど議論の対象にもされていない。

1997年に消費税を3%から5%に上げた事で、それまで55兆円あった国税収入が激減し、それ以来、一度もその額に達せず、昨年は42兆円にまで20%も縮小した。このことから、いま早急にしなければならない課題は、名目成長をプラスにすることで、増税ではない。昨年は別としてここ10年の日本の経済成長を見ると、実質成長率は平均2%近いが物価成長率がマイナス1%でデフレとなっている。実質成長率2%とインフレ率2%で、名目成長率を4%にすれば、少なくとも5年後には税収が20兆円増加する試算もある。


   このまま消費税が10%になったら、そのしわ寄せは中小企業や飲食店やクリーニングなどの個人サービス業を直撃する。いろいろな試算が出されているが、10%アップになれば、それから3年間で日本の雇用は100万人失われる。次の世代に付けを回すなというが、さらにそのつけを膨らませることになる。日銀が少し動いただけで、円高が是正され株価も上昇に転じている。このような金融政策だけでは限界があるから、いま政府がするべき政策は増税ではなくて、まだまだ掛け声倒れに終わっている規制緩和既得権益を排除し、福祉、エネルギー、農業などの成長が期待されているか、成長させなければならない分野、中小企業などの技術開発投資振興に重点的に配慮する事で、経済成長のエンジンとすることができる。