危機を煽る政治

増税と大連立

   「政局ではなく大局に立つなら政策のスクラムを組むことは十分に可能だ」と首相は言うが、増税反対派の動きを政局として封じ込めて、大局とか大きな政治などと言う言葉で誤魔化している。大新聞などマスコミもこれを煽り、大増税や大連立も当然と言う風潮に加担している。この動きは極めて危険な翼賛政治に繋がるであろう。


   財政危機、ミサイル飛来、大地震津波など最近の政府とマスコミの動きは、とにかく危機を煽動して国民を沈黙させて、予算獲得や増税政策遂行などを成し遂げようという危機管理政治である。内閣府の中央防災会議は東海・東南海大地震が起きて最大30メートルを越える津波が太平洋岸に押し寄せると発表して、テレビや新聞もトップニュースとして報道する。ところで、この会議では、昨年311の東北大震災については、これまで殆ど予測や与見をしてこなかった実績がある。東海地震については、これまで散々に予測して、東大地震研などは莫大な予算を獲得する手段として利用してきた。

   北朝鮮人工衛星の打ち上げを国際機関に通知し、4月12日に打ち上げを予定している。南に向けて発射するのは、地球の自転速度を無視するおかしなものだが、衛星打ち上げならお手並み拝見でいいと思う。それを弾道ミサイルが飛んでくるという解釈で、防衛大臣が破壊命令をだし、パトリオットを全国7か所に配備するというものものしさを演出した。これでは不足だから、防衛省はさらにイージス艦PAC3の予算を請求すると言う。


    2009年7月の第45回衆議院選挙で、国民は旧来のシステムを一新して既得権益排除というから民主党を選択した。その時のスローガンは「国民の生活が第一」だったことを放り出して、増税はしないと言う公約を破って大増税をする。国民の半数は増税に理解を示しているが、それは今ではないと言う人が、増税賛成の8割を占めている。例としてギリシャが引き合いに出されるが、経済規模が日本の100分の1である国と日本を比較しても意味はない。徒に危機を煽る政治は、歴史的にもさらなる危機を招くことは証明されている。