消費税の不公平性

不公正税制

   既に何回も書いてきたが、消費税の問題点は逆進性と戻し税の二つある不公正税制にある。日本の非課税品目は、保険、医療、教育、福祉などに限られている。他国にあるような軽減税率はない。殆どすべて押し並べて一律5%税率である。だから、収入の少ない層ほど負担率が高くなり、生活困窮者を直撃する。このことを消費税の逆進性という。

   製造業では商品を売った時に受け取った消費税額Aから、材料や部品を仕入れた際に支払った消費税額Bを引いた分(T=A―B)を税務署に納めることになる。輸出製品では、輸出先の国から消費税を取れないから、A=0となる。この製品を国内で製造する時、材料や部品の仕入れにかかった費用にかかる消費税はBであるから、納める税額TはマイナスBとなる。マイナスだから税務署から払い戻しを受けることになり、これを輸出戻し税という。

   これについて、具体的な例で説明する。消費税の税額は年間売上高から年間仕入れ高を差し引いた額に5%掛けて決まる。輸出分の税率はゼロだから輸出割合が高いほど、仕入れ段階の税額と還付金の逆転現象が起きる。「ある企業の売り上げが国内で500億円、輸出で500億円だったとする。仮にトータルの仕入れ額が800億円とする。その場合、国内で販売した500億円の売り上げに対する税額は25億円、仕入れの税額は40億円となり、差し引き15億円が還付される」。

   つまり、本当は1000億円の売り上げがあるのに、500億円も低くなり、それでいて仕入れ額の800億円はそのままで計算される。「政府の予算書によると、こうした還付金は約3兆円(10年度)あり、消費税の総額(約12兆5000億円)の約3割になる。税率を10%に引き上げると、還付金は単純計算で6兆円にも達する」。輸出企業の本社を抱えた税務署は徴収する消費税よりも還付金の方が多く、赤字になっている。