タイタニック安全神話

タイタニック100年

   タイタニック(Titanic)号は、20世紀初頭に英国で建造された46000トンの豪華客船である。処女航海だったが、1912年4月14日の深夜に氷山に接触し、翌日未明にかけて沈没した。犠牲者数は定かではないが乗員乗客合わせて1510人前後といわれている。「タイタニック」沈没の関連行事として、1912年の同号と同じ航路をたどるクルーズ船「バルモラル号」が英国のサウサンプトン港を出航した。クルーズ船は、12泊でニューヨーク港に到着する。船内は20世紀初頭の雰囲気が再現されており、食事は当時のメニューが出され、ベルギーから呼んだバンドが当時の音楽を奏でるという。氷山に衝突して沈没した海域に14日深夜から15日未明にかけて到着し、船上で追悼式を行う。同船には、事故当時と同じ1309人の乗客が乗り込んでいるし、100年目の犠牲者の親族も多数乗船しているようだ。

   19世紀、日の沈む事のない帝国と言われた英国の船会社が20世紀初頭に北大西洋航路の独占のために計画した3隻のうちの2番目に建造された船だ。当時、世界最大で最速の豪華客船で、船体構造でも船底の二重底、防水隔壁などで、不沈艦と言う神話まで生んでいた。現在のようなレーダー設備や航空機による妨害物監視体制がなかった時代だったから、夜間の航行には速度を落とすなどの注意をすべきだったが、不沈という安全神話が支配していたので、全速力で側面を氷山に激突したようだ。安全神話の落とし穴というのは昔からあった。

   1985年に3600メートルの海底に沈む船が発見された。いくつかの調査が行われたが、2004年にタイタニック国際保護条約ができて、タイタニックを保存対象に指定し、遺物の劣化を防ぎ、違法な遺品回収行為から守ることを内容としている。海底に住むバクテリアにより、鉄の腐食が進み、今から100年後には船体が崩壊するものと推定されている。すでに、しばしばの潜水探査船により、詳細な画像が収録されている。
タイタニック「1997年映画」