IT社会の落とし穴

便利さと引き換えに失うモノ

公開したら消せない
   スマホアイパッドのキーボードレス携帯端末機の登場で、ますます手軽に世界と通じるようになった。アイホーンで始まったアシスタント機能シリも、ドコモでも同じようなサービスがはじまる。このサービスはホテルのコンシエルジュや秘書の役目までしてくれる。このような便利さと引き換えに失うものはプライバシーであることを忘れてはならない。ネット上では便利さと安全性は両立しない。スマホ向け無料サービスの拡大で危険性は高まるばかりだ。


   アイホーンで気軽に自宅の室内で家具や料理などの写真を撮り、それを匿名の個人のブログに掲載した場合でも落とし穴がある。アイホーンにはGPS機能がついているから、その画像には地球上の緯度と経度の情報が組み込まれているので、専用ソフトで解析すれば位置情報が特定できるので、自宅の住所までわかってしまう。この場合、GPS機能はオフにしておけばよい。また、便利なアプリをダウンロードするときにも、利用規約やアクセス許可などによく目を通すことも大切だ。うかつに使うと、現在地が特定され、趣味嗜好もわかり、電話番号だけでなく通話先まで丸裸にされかねない。もっと酷い場合には、「完全なインターネットアクセス」では、自分の端末を外部から自由に扱う権限まで奪われてしまう。

   IT企業の目的は、すべての技術力を駆使して、全体を対象とするのではなく、個人利用者の姿を描きだして、個々が何を欲しているのかを分析してサービスに付加価値をつけることだ。ITビジネスの前提がそうやって個人を特定するところにあるため、踏み込んではいけない境目が見えなくなる。個人情報を悪用することが可能な環境をつくっているアプリが多数あり、その危険性を認識しておかなければならない。


    恐ろしいのは、ネット上にひとたび情報を公開してしまえばそれが収集され、サーバに保管されてしまって完全に削除できなくなってしまう。投稿した画像を削除できる設定もあるが、多くは検索できないようにしたり、たどり着けないようにしたりする。そのURLを直接打ち込めば、簡単にアクセスできてしまう。公開したデータは誰に利用されても仕方ない。さまざまなリスクを負ってサービスを利用していることを認識しておかなければならない。