成功体験に拘るな

成功体験を捨て去る
   日本の電気会社が韓国企業に敗北した原因は、半導体もTV、PCなどすべて高度成長期の成功体験に拘りすぎたからである。時代背景はどんどん変化しているが、僅かの成功経験を引きずっていたのでは駄目だ。どの企業でも、これからは成功は1回だけで終わったという意識が新しい創造と挑戦を生むことだろう。ユニクロの柳井さんもそのことを主張している。 

  半導体やTVで敗北した原因は過去の成功体験に安易に拘りすぎたせいだ。その上に、技術者を軽視したことから、日本から大量に高給でアジアの各国へ引き抜かれた事にもよる。もはや回復不可能だから、システムやソフトなど別の方向を考える時だ。合併で規模の拡大路線を求めた銀行と証券会社では破綻しにくくなっているが財務体質が良くなったわけではない。規模の拡大で経営維持を図る大型合併は流行しているが、財務体質の改善が最大の課題だ。新日鉄と住金の合併も同じだ。技術力はあるのだから開発力を保ちつつ、いかにしてコストを下げていくのかが問われている。


   20世紀、日本は米国をモデルとして新たな生産システムを構築し技術開発に邁進し、鉄、車、電気、PC、半導体で世界の頂点に立った。21世紀、米国を日本に、日本を韓国や中国に置き換えると全く同じような現象が起きている事が分かる。米国はソフトやシステムなどIT関連事業へへ転換した。さて日本の戦略をどうするか考えていこう。考えられる道は、モノづくりの体質を維持しながら、ハードソフトを含めた、よりレベルの高い製造システムを構築する事だ。モノも完成品を目指すよりは、素材とか生産資材など他国が真似しにくい分野に力を入れるのがよい。

   1970年代のエネルギー危機を乗り越えて高度成長を遂げたときと、状況はやや似ている現在だ。第二のエネルギー危機を克服して、別の形の成長路線へとつなげる方向が見えている。まだまだ日本の技術は人類の将来のために生かされる道が残されていると思う。