海外へ向かう製造業

海外生産にシフトする製造業

国内空洞化

   日本車は国内外を合わせて、昨年の生産量は2000万台だが、この内、国内生産は800万台だから、60%は海外生産となっている。5年前には50%だったから、5年間で10%の生産に匹敵する仕事が国内から国外へ出たことになる。30年前には1000万台だったが、すべて国内生産だった。その内、半数は輸出して外貨を稼ぎまくった。アメリカで日本車の排斥運動が起きたのは、この頃だった。自動車メーカーは、せめて部品だけでも海外から購入しようとして、この批判をかわそうと努力していた。



   円高が続くと、さらに海外での生産が増加して、2015年には75%は海外生産となると予想されている。すそ野の広い自動車産業が日本の雇用を支えてきたから、こうなると国内での雇用はますます厳しくなる。例えば、トヨタ自動車では、1次下請け企業が400社、2次が3000社、3次が2万社だから、全体の雇用量は30万人と言われている。日本の車産業全体では300万人というから、少なく見積もってもこの半数の雇用が国内からなくなると予想される。


   賃金も抑えられる、雇用も増えないでは日本経済の根本が崩壊しかねない。日本の労働者6500万人のうち、製造業関係はほぼ1000万人だ。こうなると、海外生産で生み出した利益を日本に還元して、国内で新しい雇用を生むビジネスを作りだしていかなければならない。話は単純であるが、果たしてそのような事がうまく運ぶ可能性は保証できない。でも、そうする以外に日本の空洞化は広がってしまう。