税制の合理的改革

消費税も含めた税制の抜本改革

   税金は入口の収入か出口の支出で徴収するしか手はない。誰でも税は低い方が嬉しいから、為政者に求められているのは、公正と公平という徴税制度の原則しかない。俗に九六四(くろよん)と言われているように、入口での徴収には不公平感を拭いきれない。そこで、出口で捕捉する消費税が導入された。「財政規律を守りながら、社会保障を持続可能なものにしていく為に消費税を安定財源として充てていく」という財務省と首相の考え方に誤魔化されてはいけない。

   シャウプ勧告以来の日本の税制全体を根底から新しい仕組みに変革していくときに来ている。消費税増額に対して国民の6割が反対している理由は単純なものだろうが、税収の基本は入口で捕捉するのが原則なのだ。日本の株式会社の70%、連結決算を導入する超大企業の60%は国税法人税地方税の法人事業税を納付していないのが現実だ。30%の企業が過重な負担に偏っているのは、課税の仕組みが利益に対してだからだ。会計法上、利益を出ないようにするのは難しい事ではない。そこに不条理が出てくる。

   浪費税のような支出と言う出口で徴収する仕組みは外形標準課税である。この制度を入口でも導入することで、すべての企業が税を広く薄く負担することで、現行法人税率を半分以下に切り下げても、消費税5%分ぐらいは出てくる勘定だ。資本金、企業の建物や工場の床面積、従業員数、また付加価値などの外観から客観的に判断できる課税基準により税額を合理的に算定することができる。

   消費税についても、欧州で導入されている取引明細書=インヴォイスを導入をすることで、商品流通過程の中間部分で消費税がしわよせされる不公平感もなくなるだろう。25年前の最初の消費税導入時とはパソコン普及がほぼ100%の時代だから、これも難しいことではない。以上をまとめると、入口では外形標準課税の導入、出口では取引明細書の導入で、税に対する透明性が高まり、同時に公平感が高まるから、勤労意欲も高まり税収アップにつながるだろう。

   蛇足を書けば、日本がお手本とすべき、英国の中負担、中福祉の付加価値税は17.5%であるが、すべての品目の消費税を同一と換算すれば10%弱となる。10%になっても足りないと言うのではなくて、日本の行政システム全体に多くの無駄が存在していることを明記しておく。野田さん、民主党政権はこれに敢然として立ち向かうはずだったノダ。