この国の方向

この国の行くへ

官僚独裁が国をつぶす
   20世紀、日本の高度成長期を支えたビジネスモデルは、大企業が官僚の天下りを受け入れ、官僚は大企業の既得権益を守ることに終始し新規参入を拒み、その企業が収益を上げられように安全システムなどの基準やルールを構築してきた。その上に、族議員という自民党の政治家が乗っかり、政官財が一体となって構築してきたビジネスモデルを守るために、莫大な税金が投入されて来た。その典型例が電力会社や日本航空だ。競争原理が働かず、政治家と官僚が利権を独占してきた結果がJALの財政的な行き詰まりだし、東電の安全対策の遅れだ。

     

     外から隔絶された環境下で独自の発展を遂げ、その結果として世界標準の流れからかけ離れていく状態のことをガラパゴスと呼んでいるが、日航は独自の発展をしたわけではなく、航空に係わる利権を官僚や政治家が独占して競争原理を拒否してきた結果、放漫経営、非効率、高コスト体質になり、経営が破綻しただけだ。LCCが就航したから、JALが破綻したわけではなく、LCC以前に破綻したことを問題視すべきだ。

     日本的な政官財の癒着構造は1945年から1970年までの経済大国となるまでは効率よく機能したが、銀行、電力、ガス、航空など業界で次第に競争原理が失われて、いわば共産化が起こり、非効率な経営体質に陥った事が、1989年のバブル崩壊へとつながって行った。3年前に誕生した民主党では政治主導が謳われたが、これに対して中央官僚の抵抗は激しく、あっという間に脱官僚の火は吹き消されてしまった。その結果が増税路線となった。東京で失敗したから、この度は関西からとなるが、霞が関城を陥れるのは簡単ではない。

    官僚にとっては守るべきことが明確であるが、政治家にとっては余り明確ではないからだ。本来、政治家は国民の生活を守り、国益を死守すべきだが、このような事は曖昧であり、よほどの理想に燃えた政治家でない限り、直ぐに妥協してしまうからだ。