天井落下事故

トンネル天井落下事故
笹子トンネル事故
   杞の国のある男が、天が崩れ落ちてくるのではないかと心配し、食事ものどを通らず、夜も眠れずにいた。心配する必要のないことを心配する事で、取り越し苦労を杞憂という。トンネル通行中に天井が落ちてきたらなどと、これまで考えた事もない。原発に続き日本国の安全神話に水をさす大問題だ。

   歴史的には宇都宮城釣天井事件がある。元和8年( 1622)、下野国宇都宮藩主で江戸幕府年寄の本多正純宇都宮城に釣天井を仕掛けて、第2代将軍徳川秀忠日光東照宮へ行く時の宿泊を利用して、暗殺を図ったなどの嫌疑を掛けられた事件だ。本多家は改易され、正純が流罪となった。本多家は家康の第一参謀だったが、家康没後、その権勢がうとまれていた。

   国際標準機構ISOの品質管理や環境管理が日本に持ち込まれて、普及し出したのはちょうどバブル崩壊の時期と重なっている。どうもそれ以来、製造業、土木建築工事、食品業などに様々な事故が増えてきている。国際標準は書類の上での審査が主体だから、指示命令の通りにすれば、それでいいという世界だ。それまでの日本的な品質管理は、書類などはどうでもよく、実質的によいものを目指して、とことん追求するやり方だった。

   このようなトンネルの釣り天井の構造には欠陥があるのではないかと思われる。ボルトでパネルを固定する方式で、ボルトそのものには張力(tension)がかからない使い方をするのだが、報道されているボルトを見ると、天井に垂直にボルトを固定している。これではボルトに緩みがでたら、抜けやすくなるのは当然だ。航空機構造では絶対にこのようなボルトの使い方はしない。ボルトにはせん断力が働くように使う。