食べ残し

食べ残し
 レストランで出る刺身のつまは食べるなとは昔から言われていた。家庭では食べ残しの再利用は普通のことであるが、商売にしているレストランではありえないことだ。高級料亭で行われていた客が残した刺し身やアユの塩焼きなどの料理を別の客に提供していたということを聞くと、どこの料亭でも普通にしていることのように思えてしまう。

 西欧料理や中華料理と異なり、小鉢や小皿に次々と料理が出てくる日本料理では、箸を付けずにそのまま下げられることも多い。このような料亭での利用は個人ではなく法人組織が接待で使うことが多いので、接待される側の客は食べ残すことも多く、もしかしたら次々と同じ皿がタライ回しされているのかもしれない。

 料亭の社長が「もったいないという精神だ」と説明していたが、それは料理に対価を受け取っている料亭側が言うべきことではない。そもそも高級料亭で食事をすること自体がもったいないことなのである。料亭でのこの種の行為は、同じもので2回、3回と料金を取っていることに相当するから詐欺罪にも相当するかもしれない。

 元従業員は「先輩の調理人から使えるものはすべて使うと指示され、残った料理をえり分けていた」と話している。使い回しについては、食品衛生法でも規定はない。社長が「食べ残し」ではなく「残されたお料理として欲しい」と報道に注文を付けたそうであるが、盗人猛々しいとしか表現のしようがない。

 腕の良い職人は腐りかけたものでも絶品の寿司や料理に変えてしまうこともあるという。そのような職人が和食の天才ともてはやされる。ミシュランの評価でも認められた日本料理であるが、このような話は誇張されて伝わり、日本の伝統と文化を毀損する行為である。ブランド物にこだわることは止め、自分に似合うものを身に付け、ガイドブックなどはあてにせず、自分の舌で料理を味わうことである。
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